陸屋根に必須の防水工事｜工法の種類からメンテナンスのタイミング・劣化症状まで解説！

　陸屋根（ろくやね）は「屋上」とも呼ばれ、人が出入りできる平坦な屋根を指します。
　かつてはデパートなどの商業施設・ビルや病院などの大型施設に施工されるイメージが強かったですが、近年では一般的な住宅に採用される事も増えてきました。

　しかし、その一方で陸屋根に欠かす事が出来ないメンテナンスが「防水工事」です。

　そこで、この記事では陸屋根（屋上）の特徴やメリット・デメリットをはじめ、防水工事の必要性やその種類について詳しい情報を解説いたします。

陸屋根とは？

　それでは、まずはじめに陸屋根の特徴やメリット・デメリットについて詳しくご紹介させて頂きます！

陸屋根の構造｜特徴・メリット

　陸屋根（りくやね、ろくやね）は平坦でほとんど傾斜のない人が出入り可能な屋根を指し、「屋上」「平屋根」や「フラット屋根」とも呼ばれることもあります！
　かつてはビルやマンションなどの大型施設への採用が一般的でしたが、近年ではモダンなデザインが好まれるようになった事や屋根スペースを有効活用できるとメリットから戸建住宅でも採用される事も増えてきています。

　陸屋根はその広い空間を様々な用途に使用可能で、家庭菜園やガーデニング、洗濯物干しスペースなど趣味や生活の場として幅広く活用出来ます！
　
　また、陸屋根は一般的に鉄骨造やコンクリート造の建物に採用されることが多く、必然的にその耐久性は高くなります。
　傾斜屋根と比べると屋根面が水平であるため、強風による損傷リスクが低く台風などの自然災害にも比較的強い事が利点です！

陸屋根のデメリット

　しかし、その一方で陸屋根は床面にほとんど傾斜が無く、四方が壁（パラペット）に囲まれていることから非常に水はけの悪い屋根です。
　床面からの浸水を防ぐ為にも、定期的な防水工事をしっかりと行っていく必要があります。

　また、陸屋根はその構造上、屋根裏スペースがありません！
　ロフト・収納スペースを設ける事は出来ず、さらに屋根と室内に空間が無い事で最上階の室内気温が外気に左右されやすい状態となります。

　最上階が夏は暑く冬は寒くなりやすい為、そうした対策が必要になる事にも注意が必要です！

陸屋根に防水工事が必要な理由｜雨漏り被害が及ぼす悪影響

　前述の通り、陸屋根は平坦な構造であることから、水はけが悪く雨水が溜まりやすいという特徴があります。
　そうした雨水の浸水を防止する役割を担っているのが、防水工事によって形成される「防水層」です！

　しかし、防水層は経年や紫外線の影響を受け続ける事で、徐々にその機能が失われていきます。
　陸屋根の防水性を維持する為にも、定期的な防水工事は欠かす事が出来ません！

　また、雨漏りの発生によって浸水した雨水は、住宅・生活において非常に大きな悪影響を及ぼします。
　そこで、陸屋根からの浸水被害が及ぼす悪影響について以下にご紹介いたします。

①室内への浸水被害

　雨漏り被害と聞いて一番最初にイメージされるのが、「室内への浸水」ではないでしょうか。
　天井・内壁に流れ着いた雨水は雨染み・変色の原因となり、さらにそこからしたたり落ちた水はインテリアや電化製品にダメージを及ぼします。

　特に、電化製品に水が掛かる事は漏電に繋がるリスクとなりますので大変危険です。

②住宅構造部の浸水被害

　全ての素材に共通する訳ではありませんが、一般的に「水分」は建材が劣化する原因となります。
　「木材」であれば腐食、「金属素材」であれば錆の原因となり、住宅構造部の劣化・耐久性の低下に繋がります！

　また、雨漏りに気づくきっかけとして多い天井や内壁に発生した雨染みですが、室内から確認出来る浸水が軽微であったとしても内部では浸水が想像以上に雨水が滞留している場合があります！

　画像は、赤外線サーモグラフィカメラで撮影した浸水被害の調査です。
　目視では軽い浸水にも見えましたが、天井内部では多くの雨水が滞留している状態でした。
　
　浸水被害による住宅構造部へのダメージを最小限に抑える為にも、室内で雨漏り被害を確認した場合にはすぐに対応する事が大切です。

カビの発生による健康被害

　雨漏りによる悪影響の中でも見逃されがちなのが、カビの発生による健康被害です。

　一般的に室内に雨漏りが発生している場合、その空間は湿度が高くなります。
　そうした状態はカビの発生リスクが非常に高く、その胞子を吸い込んでしまう事でアレルギー症状を引き起こしてしまうリスクとなります。

　特にお子様やご年配の方は影響を受けやすい為、注意しましょう。
　雨漏り修理まで期間が空いてしまう場合には、窓を開けて小まめに換気しておくことでカビの発生を抑制する事に繋がります。

陸屋根に施工される防水工事の種類

　一口に防水工事と言ってもその種類は様々であり、メリット・デメリットから耐用年数に至るまで違いがあります。
　続いて、防水工事の種類やそれぞれの特徴について解説いたします。

ウレタン防水

　ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布することで繋ぎ目のない防水層を形成する工事方法です。

　液状の塗料を使用する事から複雑な形状にも対応可能で、施工場所に柔軟に対応出来る事が大きなメリットです！
　また、形成される防水層は軽量で柔軟性・弾性に優れ、地震発生時の建物の動きなどでひび割れてしまうリスクも少ない利点があります。

　一方、施工時には塗布・乾燥工程が必要であることから工期は長くなりがちです。
　塗装によって防水層を形成する関係上、仕上がりは職人の技術力に大きく左右される点にも注意が必要となります！

FRP防水

　FRP防水は、ガラス繊維を使用した防水層を形成する方法です。
　形成される防水層は非常に強靭で、耐候性・耐熱性にも優れます。

　また、施工期間が短いと言う特徴もあり、特に工事期間に期限が設けられている場合には大きなメリットとなります！

　しかし、防水層はその強靭さゆえ、柔軟性・弾性に乏しい特徴を持っています。
　その為、振動や建物の動きによってひび割れが生じやすく、特に木造住宅への採用は慎重になる必要があります。

シート防水

　シート防水は、防水シートを屋根面に貼り付けて防水層を形成する施工方法です。
　既製品のシートを使用することから仕上がり品質のバラつきが少なく、また下地の影響を受けにくいという特性があります。

　また、シート防水にはウレタン防水の様に塗布作業や乾燥作業がありません。
　その為、特に広い面積を持つ施工箇所では、施工期間を抑えられるメリットが大きくなります。

　一方、シートの加工が多く必要となる複雑な施工箇所には不向きであり、さらに対応可能な職人も少ないというデメリットがあります。
　さらに、防水シートの種類によって耐久性・性能も変わってきますので注意しましょう。

防水シートの特徴

	ゴムシート	塩ビシート
素材	合成ゴム	塩ビ（塩化ビニール）
特徴	コスト・柔軟性に優れるが耐久性に劣る	ゴムシートより高価だが耐久性に優れる
耐用年数の目安	約10～15年程度	約10～20年程度

ゴムシート：
　ゴムシートは、その名の通り合成ゴム製を主材として製造される防水シートです。
　価格が安く柔軟性に優れる素材であることから、一昔前は広く採用されていました。

　しかし、耐久性に優れる塩ビシートの登場後は使用される機会も減り、現在では施工可能な職人さんも減ってきています。
　
　耐用年数は約10～15年程度とされています。


塩ビシート：
　塩ビシートは、耐久性に優れた塩化ビニール製のシートを使用した防水方法です。
　ゴムシートと比較して価格は劣りますがその分耐久性に優れ、現在ではシート防水の主流素材として幅広く採用されています！

　耐用年数は約10～20年程度です。

アスファルト防水

　アスファルト防水は熱で溶かしたアスファルトを屋根面に塗布する方法で、非常に歴史のある防水工法です。
　防水工事の中でも特に耐久性に優れる工法で、重い荷重に耐えることができることから大型建築物や工場などでも使用されることが多いです。

　ただし、アスファルト防水は施工に時間と手間がかかり、工事方法によっては非常に強い臭気が発生します。
　また、施工に掛かる手間や時間・コストが大きい事から、一般的な住宅ではあまり採用されません。

陸屋根に適した防水工事方法とは？

　一般的に広い面積を持つ陸屋根にはシート防水が適していると言われています。
　ですが、その一方で「最適な施工方法」はお客様が施工に重要視されている点や施工箇所の状態によっても変わってきます。

　例えば、施工場所が複雑な形状をしている場合には「シート防水」は適しておらず、塗膜によって防水層が形成される「ウレタン防水」が適しています。
　また、施工範囲がそれほど大きくない環境で工事期間をなるべく抑えたい場合には「FRP防水」も選択肢の一つです。

　防水工事の工事方法についてのお悩みも、私達「雨漏り専門赤外線・非破壊検査.com」にお気軽にご相談下さい。
　現地調査をさせて頂いた上、お客様のにとって最も良い工事方法をご提案させて頂きます！

陸屋根が防水工事を必要としている時期・タイミング

　ここまで、陸屋根における防水工事の必要性や種類について詳しくご紹介させて頂きました。
　しかし、そうした中「陸屋根に防水工事を施すタイミングが分からない...」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

　そこで、陸屋根に防水工事が必要となる目安となる年数・劣化症状について詳しくご紹介いたします。

防水工事の耐用年数

シート防水	10年～15年
ウレタン防水	10年～14年
FRP防水	12年～20年
アスファルト防水	15年～25年

　防水工事の必要性をご検討される上でまず目安となるのが、防水工事の耐用年数です。
　施工されている防水工事の寿命を予め確認しておくことで、将来的なメンテナンスの予定も立てやすくなります。

　ただし、耐用年数は防水工事の種類によっても変わりますので、ご自宅の屋根に施工された防水工事の工法もしっかりと把握しておきましょう。

　また、耐用年数はあくまで目安であり、メンテナンス頻度や施工箇所の使用方法・環境によっても変わります。
　後述する劣化症状も併せて、防水工事の必要性をご検討する事が大切です！

防水層の劣化症状

　防水層の劣化症状は「陸屋根が防水工事を必要としているサイン」であり、その放置は雨漏りに繋がる可能性を高めます。
　工事方法によっても変わりますが、以下に代表的な防水層の劣化症状をご紹介いたします！

剥離・ひび割れ・亀裂

　防水層の劣化によって生じる症状としてまず挙げられるのが、剥離・ひび割れ・亀裂です。
　景観の悪化にも繋がり、隙間からの浸水を招く事で雨漏り被害を生じさせてしまうリスクとなります。

　ただし、こうした症状は防水層を保護する「トップコート」の劣化によっても発生します。
　防水層にまで被害が及んでいなければトップコートの塗り替えのみで済むケースも多い為、どちらにしてもお早めに専門業者へ相談されることをおすすめいたします。

シートの剥がれ・浮き

　剥がれ・浮きはシート防水特有の症状であり、防水層が劣化しているサインです。
　特に、シート防水のウィークポイントである「接合部」に生じる可能性が高い為、注意しましょう。

水溜まりの発生

　陸屋根は一見して平坦に見えますが、排水の為にわずかな勾配が付けられています。
　その為、陸屋根に長時間に渡って水溜まりが発生している事は異常であり、何らかの不具合が生じている可能性が高いと言えます。

　水溜まりが発生している要因としては、

　・防水層が劣化により浮いている
　・排水口が詰まっている
　・施工不良

　などが考えられます。

　防水層の劣化と同時に様々な不具合が考えられる状態の為、まずは排水口の詰まりをチェックされた上で専門業者へご相談されることをおすすめいたします。

陸屋根からの防水工事・雨漏り調査もお任せください！

　今回は陸屋根の特徴から防水工事の必要性・種類をはじめ、防水工事を必要としている状態・タイミングについて詳しくご紹介をさせていただきました。
　陸屋根の防水機能を適切に維持していくためにも、定期的な点検と防水工事をしっかりと行っていきましょう。

　ただし、陸屋根は雨漏りリスクが高い場所とされ、その発生要因は防水層の劣化だけではありません。

　・立ち上がり壁（パラペット）上部に設置された笠木の劣化
　・ベランダと外壁取り合い部に施されたシーリングの劣化
　・窓サッシ部のパッキンの劣化進行

　など浸水要因は様々であり、雨漏りを解決する為にはしっかりと原因を特定する必要があります！

　私達、雨漏り専門赤外線・非破壊検査.comは目視調査・散水調査はもちろん、サーモグラフィカメラによる非破壊調査にも対応可能です！

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　お電話・メールにて、ぜひお気軽にご相談・ご依頼下さい！