軒ゼロ住宅は雨漏りリスクが高い？その原因や軒の役割・対策方法とは？

近年、「軒ゼロ住宅」は非常に高い人気を集めており、住宅のトレンドとも言える存在です。

しかし、ネットで軒ゼロ住宅を調べてみると「コストを抑えられる」「デザインがカッコイイ」という情報がある反面、「雨漏りが発生しやすい...」というネガティブなワードも非常に目立ちます。

そこで、この記事では軒ゼロ住宅の特徴や都市部で選ばれる背景をはじめ、雨漏りリスクが高い理由やその対策方法についてご紹介いたします。
また、軒の役割についても詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください！

軒ゼロ住宅とは？

「軒ゼロ住宅」とは、その名のとおり、屋根の「軒（のき）」がほとんど出ていない、もしくは全くない住宅のことを指します。

従来、日本の住宅では雨や日差しを防ぐために屋根の軒を大きく張り出させるのが一般的でした。
しかし、近年では特に都市部を中心として軒ゼロ住宅が非常に増えてきています。

軒ゼロ住宅のメリット

それでは、まずはじめに軒ゼロ住宅のメリットについてご紹介いたします。

①デザイン性に優れる

軒ゼロ住宅の一番のメリットと言えるのが、やはりデザイン性に優れることです。

軒がないことで直線的で洗練されたデザインとなり、スタイリッシュな景観となります。
特にミニマルデザインを好まれる方に最適で、現代の新築住宅ともマッチします！

②敷地を有効活用できる

軒ゼロ住宅は、軒が無い分そのスペースを室内空間に活用する事が可能です。
狭い土地でも室内空間を最大限確保しやすくなるため、特に狭小地において新築住宅を建てる方には大きな魅力です。

③施工コストを抑えられる

軒を設けるためには材料費や施工費がかかりますが、軒ゼロ住宅ではそのコストを削減する事が可能です。
ただし、デザインによっては雨仕舞（あまじまい）や耐久性を高める工夫が必要となるため、結果的にコストが大きくなってしまう可能性もあります。

軒ゼロ住宅が都市部で人気の理由

上記の様な特徴を持つ軒ゼロ住宅ですが、近年では特に都市部で採用されることが増えてきています。
それでは、軒ゼロ住宅はなぜ都市部で人気を集めているのでしょうか？

以下に、その理由についてご紹介いたします。

①土地の制約

都市部では敷地面積の確保が難しい場合も多く、新築の際にそうした土地の制約で頭を悩ませてしまう方も多いです。

一方、軒ゼロ住宅は軒が無い事で建物の面積が確保しやすいメリットがあります！
そうした土地の制約をクリアした上、室内空間を可能な限り広くすることが可能です。

②都市部にマッチしたデザイン

軒ゼロ住宅と言えば、スタイリッシュで無駄のないシンプルな見た目はやはり大きな魅力ですよね。
そうした住宅の景観は都市部の都会的な環境とも相性が良く、よりお洒落さが引き立ちます。

都市部の景観にマッチするデザイン性も、選ばれる理由の一つとなっています！

③新築におけるトータルコストを抑えられる

都市部は生活がしやすい反面、土地の価格が高いというデメリットがあります。
そうした中、軒ゼロ住宅は軒を必要としない分、その建築コストを抑えることが可能です。

「新築に掛かるトータル費用を抑えたい！」とお考えの方にとっても、軒ゼロ住宅は魅力的な選択肢と言えます。

軒が持つ役割とは？

一方、軒ゼロ住宅をご検討されるうえで、やはり心配になるのが「本当に軒はいらないの...？」という点ですよね。
それでは、次に軒の役割についてご紹介いたします。

軒の役割①：雨風や直射日光から住宅を保護する

雨風や日光（紫外線）は、外壁やそれに施されている塗装が劣化してしまう大きな要因です。
そうした中、軒はそれらを遮ることでその影響を最小限に抑える働きを持っています。

軒は住宅全体の経年劣化の進行を低減させ、それによってトラブルが発生するリスクを抑える大切な役割を担います

軒の役割②：室内への日差しの差し込みを調整

お住まいに降り注ぐ太陽光の角度は、夏と冬で大きく変わります。
例えば、太陽の高度が高い夏は軒によって厳しい日差しが室内へ差し込むことが防がれる一方、高度が低い冬では暖かい日差しを室内へ取り込むことが出来ます。

軒は、シーズンによって変わる太陽光の日差しを調整する機能も備えます。

軒の役割③：雨に濡れない屋外スペースを確保

例えば、給湯器やホームタンクなどは屋外スペースに設置されますが、そうした場所に屋根が無ければ雨ざらしとなってしまいますよね。
軒は雨に濡れない屋外スペースを確保できるため、屋外設備の設置場所をつくる上でも大きな役割を担っています。

軒ゼロ住宅が抱えるリスク｜雨漏りが発生する原因とは？

上記の通り、住宅において軒は非常に重要な役割を担っていますが、その一方で軒の無い軒ゼロ住宅ではそうした「軒の恩恵」を受けることが出来ません！
特に、雨風や紫外線の影響を受けやすくなる関係上、外壁を中心に住宅の劣化が進みやすくなることは避けられないと言えます。

また、住宅の劣化が進行しやすいと言う事は、それを起因とする雨漏りリスクの増大にも繋がります。
次に、軒ゼロ住宅から発生するよくある雨漏り原因についてご紹介いたします。

①シーリングの劣化

軒ゼロ住宅に限らず、シーリングの劣化は住宅で発生する雨漏り要因の中でもトップクラスに多いです。

施工当初は優れた弾性を備えているシーリング材ですが、特に紫外線の影響を受け続ける事で徐々に硬化していきます。
ひび割れや破断を引き起こしたシーリングは浸水を招く隙間を生じさせ、雨漏り被害を引き起こします！

外壁が雨風や紫外線の影響を受けやすい軒ゼロ住宅では、施されているシーリング材の劣化も進みやすいため注意が必要です！

②屋根と外壁の取り合い部からの浸水

屋根と外壁の取り合い部は、元々浸水リスクが高い場所です！
通常、軒によって保護される部分ですが、軒ゼロ住宅ではその場所に雨水が直接降り注ぎます。

防水処理の甘さやシーリングの、劣化は浸水被害を招く直接的な原因となります。

③外壁材のひび割れ

雨風や紫外線は外壁に施された塗膜が劣化する原因であり、その保護機能の低下は外壁材の劣化にも繋がります。
劣化進行により耐久性が低下した外壁材はひび割れを招き、そうした隙間も浸水リスクとなります！

また、窯業系サイディングの目地や窓サッシ廻りに施されたシーリングは緩衝材としての役割を担っていますが、劣化進行によって硬化が進むことでそうした役割も徐々に失われていきます。
そのため、シーリングが施されている目地部分やサッシ廻りなどは特にひび割れが発生する可能性が高いため、注意が必要です。

「片流れ屋根」の雨漏りリスクにも注意！

方流れ屋根とは一面のみで形成され、一方向に傾斜した屋根を指します。
シンプルでデザイン性が高いことから、軒ゼロ住宅とセットで採用されることも多い屋根形状です。

しかし、その一方で軒ゼロ住宅と同様に方流れ屋根も雨漏りを引き起こしやすいと言われています！
「軒ゼロ住宅と片流れ屋根がセットで施工されている住宅」は「その他の軒ゼロ住宅」と比較してさらに雨漏りリスクが高いと言えますので注意しましょう。

方流れ屋根の雨漏りリスクについては以下のページでご紹介しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください！

〇関連ページ
　⇒片流れ屋根の雨漏りが多いのはなぜ！？

軒ゼロ住宅の雨漏り対策とメンテナンスの重要性

ここまで、軒ゼロ住宅の特徴や雨漏りの原因やリスクについてご紹介をさせていただきました。

軒ゼロ住宅はそのデザイン性やコスト面から人気を集めている一方、やはり雨漏りリスクが高い住宅と言えます。
雨漏りリスクを抑えるためにも、その対策や定期的な点検・メンテナンスは欠かせません！

ここでは、軒ゼロ住宅の雨漏り対策やメンテナンスの重要性について詳しく解説いたします。

軒ゼロ住宅の雨漏り対策

屋根と外壁の接合部の防水処理

軒ゼロ住宅の中でも屋根と外壁の取り合い部は雨漏りリスクが高い場所です。

そのため、この部分の雨仕舞いは非常に需要であり、確実に防水処理を施しておく必要があります。
新築であればこの部分の防水処理の重要性をしっかりと理解している施工業者へ依頼し、その後のメンテナンスもしっかりと行っていきましょう。

耐久性に優れた部材・塗料を使用する

耐久性の優れた部材・塗料を使用することも雨漏りリスクの低減に繋がります。

例えば、一般的なシーリング材の耐用年数は約10年程度されている一方、「オートンイクシード」と言うシーリング材の耐用年数は約30年と非常に長寿命です！
また、「無機塗料」や「フッ素塗料」の耐用年数は約15～20年程度とされ、外壁塗装に使用される塗料の中でも優れた耐久性を備えています。

機能性に優れる分導入コストは大きくなってしまいますが、部材の劣化進行による雨漏りリスクを抑えることが出来ます。

ただし、外壁材の種類によってはそれらの使用が適さない場合もありますので注意しましょう。

雨漏りを防ぐ軒ゼロ住宅のメンテナンス

シーリングのメンテナンス

雨漏りを未然に防ぐためにもまずしっかりと行っていきたいのが、シーリングのメンテナンスです。
外壁の目地やサッシ廻りのシーリングが著しく劣化している場合、それを撤去して新たなシーリングに打ち換える「シーリング打ち替え工事」が行われます。

軒ゼロ住宅では、特に外壁に施されたシーリングの劣化が進行しやすいです。
普段の生活の中でひび割れや肉痩せ、破断などが確認された場合には、早期に専門業者へ相談しましょう。

外壁のひび割れ補修

外壁に発生するひび割れは、その程度により「ヘアクラック」「構造クラック」の２種類に分類されます。

・ヘアクラック（幅0.3mm以下）
髪の毛程度の軽微なクラック。
経過観察が必要なものの、外壁塗装を施す事で対応可能

・構造クラック（幅0.3mm以上）
構造部の耐久性低下や雨漏りを引き起こす危険性のあるクラック。
早期に補修などの対応が必要です！

特に、構造クラックは危険性の高いレベルのひび割れであり、早期に対応が必要です。
雨漏り被害はもちろんですが、構造部の耐久性を引き起こす可能性もあります。

構造クラックが外壁に発生した場合、一般的に補修材による補修が行われ、場合によってはひび割れ周辺を電動工具で削る対応（Ｖカット・Ｕカット）も必要となります。

また、外壁にひび割れが生じている場合、外壁全体の塗膜が劣化している可能性が高い状態です！
ひび割れが生じている外壁は塗膜の劣化が進行している可能性が高いため、必要に応じて外壁塗装を行う事もおすすめです。

③外壁塗装メンテナンス

「雨漏りの対策なのに外壁塗装...？」と疑問に思われる方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、外壁に施された塗膜は着色だけが目的ではなく、外壁を保護するという大切な役割を担っています！

塗装の劣化は外壁材のひび割れに繋がり、そうして出来た隙間は雨漏りリスクとなってしまいます。
そのため、間接的ではありますが外壁塗装をしっかりと行う事も雨漏り対策に繋がるのです。

また、シーリングと同じく軒ゼロ住宅では外壁塗膜の劣化も進行しやすいです。
定期的なメンテナンスを行っていくことはもちろんですが、機能性・耐久性に優れた「無機塗料」「フッ素塗料」を使用することもおすすめです！

まとめ

軒ゼロ住宅は優れたデザイン性、敷地面積を最大限活用できるメリットがある反面、雨漏りを引き起こす可能性が高い住宅です。

ただし、その一方で「軒ゼロ住宅は必ず雨漏りが発生する」とも言えません！

どの様な住宅でも変わりませんが、定期的な点検・メンテナンスをしっかりと行っていくことで雨漏り被害を未然に防ぐことは可能です。
今回ご紹介をさせて頂きました様に、軒が無い事によるデメリットやそれによるリスクをしっかりと念頭に置いておくことが大切となります。

また、もし軒ゼロ住宅の雨漏り被害にお困りの方がおられましたら、私たち「雨漏り専門赤外線・非破壊検査.com」にお任せください！
雨漏りを解決する事はもちろんのこと、軒ゼロ住宅の将来的な雨漏りリスクを低減させる最適な施工方法をご提案させて頂きますのでご安心ください。